みなさんは、
「教師は教えるのが下手である」
と言われたらどう思いますか?
西川先生の書籍である「学び合う教室」を読んでいます。
2000年の本で結構古いのですが、『学び合い』の根幹になるところがたくさん書かれてあります。
2000年って、僕がまだ4歳の時に書かれた本なんですね、、、
この本に書かれてある一番大切なところは先ほども書いた通り、「教師は教えるのが下手である」という事です。
「???」と思う人も多いかと思いますが、これは認知心理学の「エキスパート・ノービス」研究という研究のエビデンスをもとに西川先生が導き出した結論です。
「エキスパート・ノービス」研究を簡単に説明すると、2者間のある知識や技術のレベルが離れれば離れるほど、それを伝達するのは難しいという理論です。
なぜなら、知識や技能が熟達すればするほど、それを説明する能力が失われていくからです。
例えば、パソコンでブラインドタッチ(キーボードを見ずにパソコンを打つ技術)ができる人にとって、キーボードのどの位置に「B」があるかなんて意識してません。
むしろ、できる人であればあるほど、頭の中でキーボードを思い浮かべたときに「B」の位置が分からなくなっていると思います。
これは「自動化」というもので、人間の脳を効率よく使う仕組みです。
タイピングする時にいちいち、「Bがここにあって、次にAがここに・・・」と考えながらだと動きがぎこちなくなってしまいます。
また、人間の脳にも容量があるようで、技能が熟達すれば「忘れる」という機能を使って効率よく脳を使うようになるそうです。
学校の先生、特に教科担任制である中学校以上の先生は、おそらく各教科の知識や技能が優れている方ばかりだと思います。
しかし、優秀な先生であればあるほどその技能を言葉で説明できなくなっているので、子どもに教えることが困難になります。
また、できなかった時の自分を思い出すことも難しいため、子どもの分からない事が分からないんです。
じゃあ逆に、そんな子どもの気持ちは誰が分かるのでしょうか?
それは、熟達の程度が似ている仲間です。
子ども同士でなら相手の分からないという気持ちも分かる可能性は高いです。
もちろん、習熟度だけでなく人間関係的な相性もあるので誰の説明が合うのかと言われると分かりませんが、30人学級であれば29人の中から自分にあった説明をできる人がいるかもしれません。
教師1人が教えて、多くの子どもが「エキスパート・ノービス」によって教師の言っている事が分からない状態より、はるかにましな状態ですよね。
要するに、教師は優秀であればあるほど教えるのが下手になり、子どもにとって一番適している教師は知識や技能が近い仲間だということですね。