日本人は、何か事件が起こった時、白黒をはっきりと付けない傾向があるそうです。
例えば、車での事故。
交差点で事故を起こせばどっちがどれだけ悪いに限らず10:0にはならないそうです。
それはなぜなのでしょうか?
半年ぐらい前に『日本人の法意識』という本を読みました。
この本には日本人が白黒をはっきりつけたがらない理由として
「人間関係を保つため」
といったようなことが書いてありました。
10:0でなく、どちらかに少し悪いところを作っておけば
「こっちにも悪いところはあったよね。ごめんね」
となりますが、10:0でどちらかが勝ってしまえば勝った方は傲慢になり、負けた方は限りなくその人に対して委縮してしまいます。
それだけ日本人は、法とかルール作りの上でも、人とのつながりを考えていたのですね。
とても誇らしいです。
しかし、それがゆえに、法律とかルールとは逆行した行動もしてしまいます。
その中の一つとして、教員の部活動顧問問題があります。
教員の部活動顧問は、法律的にはどこにも定められていません。
勤務時間外の労働として校長が教員に命令できる仕事として”超勤4項目”というものがあるのですが、その中にも部活動はないので、部活動顧問を命令することもできません。
要するに、部活動の顧問は本人がどう思っていようが、持っている先生は全員自発的に、ボランティアで行っているという扱いになっています。
部活動の時間はデータとしては中学校教諭で平日で平均41分、休日で平均2時間というデータもありますが(https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/08/17/1386194_02.pdf)このデータの上には(持ち帰り時間は含まない)と書いてあります。
じゃあ、何でも言い放題ですよね。
部活動をやっている方の中には「家庭の時間が取れない」と悩んでいる方も実際に見かけました。
このような実態があるにも関わらず教員が部活動を持ち続けているのは、人間関係を崩したくないからという理由が大きいと思います。
例えば、校長に部活動顧問を頼まれて「超勤4項目が・・・」と言って拒否するとその瞬間に校長からは「あ、こいつやばい奴だ」と思われてしまいます。
また、自分が部活動を断るという事は、他の人が頼まれるという事です。
それを遠くから見ているのも気まずいですし、自分が部活動を断ったことは瞬く間に職員室に広がり、教員集団の中で息苦しい生活を強いられてしまいます。
上記のように部活動顧問を断って人間関係にひびができるぐらいなら、部活動をする方がましなのでしょう。
しかし、体育教員でない人で専門の競技でもない部活動を持っている人は全国で4割以上いることも現実です。
この状況は良くありませんよね。
この状況を打破するためには、部活動顧問を持つかどうかを選択できるといった制度が必要となります。
持ちたくない人がいれば、持ちたい人もいます。
部活動は間違いなく教育的価値もあります。
全員を見捨てないためには、選択できる仕組みが必要となります。
そのためにはどうすればよいか?
ここで出てくるのもやはり人間関係です。
法律や仕組みを変えるには、まずは多くの人の共感を得る必要があります。
そのためには、共感してもらえるような仕組みが必要、そして自分自身が共感してもらえるような人間である必要があります。
たくさんの先生方はもちろん、子どもや保護者の方々など全員が救われるように活動をし、そして人として誠実であり続けようと思います。