僕は、体育の授業で技術の向上に重きを置いていません。でも、評価の中で「知識・技能」という項目があるので、技術的なテストを単元の最後にやるようにしています。
そのスキルテストの内容は、単元が始まる一番初めに生徒に伝えています。そして、毎時間このスキルテストの練習の時間を設けています。最初の10分ぐらいですが。
授業では、ゲームを多くできるようにしています。前の単元でアンケートを取ったときに、ゲームを増やしてほしいという要望があったもので。
ただ、ゲームの中でいかに全員が楽しめるかを考えて、いろんな条件を付けてゲームをしました。
女子が得点したら得点2倍とか、全員がシュートを決めたら勝ちとか。
割とうまくいっていました。
次に、実際に得点をつけてゲームをしました。すると、逆にゲームが盛り上がらなくなってしまいました。負けている方のチームのテンションが明らかに下がっているからです。
ゲームって、勝敗ありきだと思っていたのですが、じつはそうじゃないようです。得点をつけて、どっちが強いかを明確化してしまう事によって、楽しめるものも逆に楽しめなくなってしまうんだなという事を学びました。
最近は単元の最後の方なので、「ゲームをしても技能テストの練習をしてもいいし、ルールも自由。でも、この時間全員が楽しめるようにしてね」と言って授業を生徒に全任せしています。
3学年とも球技をしているのですが、それぞれ違った楽しみ方をしていました。
ある学年は男女混ざって技能テスト組とゲーム組に分かれ、ある学年は男女別で全員がゲームに参加して楽しむ。
彼らは合意の上で、全員がちょうど楽しめるようなルールで1時間の授業を楽しんでいました。
そのルールは、これまでの授業で僕が提示してきたルールの中でのものでしたが、見ていると男子と女子でゲームのルールが違っていました。
スポーツが好きで上手な人からすると、ルールを制限すればするほど難易度が上がり、面白くなっていくものですが、苦手な人からすると難しいゲームには参加すらできません。
勝敗がつくからこそ楽しいという人もいれば、自分のせいで負けてしまうと委縮してしまう人もいます。
それは、どんな集団かによって変わってきますが、その集団の中でどのようなルールにすれば全員が楽しめるのかを知っているのは紛れもなくその集団の構成員である彼ら自身です。
「全員が楽しめるように」という条件を言うだけで、彼らは自分を含めた周りのことを考えて、うまく調整できる力があるんだなと改めて実感した授業でした。
子どもたちはやはり有能です。