勤務している自治体の来年度の重点事項を批判的に読んでみた

今日の記事は割と長めなので、時間があるときに読んでいただければ、、、と思います。






さて、僕が勤務している自治体の、「令和4年度学校教育実践上の重点」という資料を読んでいます。



大学院時代に研究論文を少なからず読んでいたので、こういった資料も読むのに時間がかからなくなっています。



それだけでも大学院行ってた価値あったな、、、。




資料の内容は、以下の通りです。

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今日の学校現場は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて一斉臨時休校を経験しました。



そこで、


「自立して自ら成長する力」

「職員や友だちを信頼してより良い活動ができるようになる力」


が必要になることが分かりました。




また、Society5.0の時代の到来、自然災害や地球温暖化の等の地球規模の問題などによって、先が見通せない変化が激しい社会になりました。



そんな社会を生き抜くには


「自立と共生ができる子ども」


の育成が重要です。




また、小学校も中学校も全国的と比較して学力が低下していて、学力の向上はこの自治体で喫緊の課題となっています。



学力の低下は、こどもたちの人格形成や進路選択に影響を与えるので、教職員は責任をもってこの課題に取り組む必要があります。



「知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えていた李、思いや考えをもとに創造したりすることに向かう過程を重視した学習を、計画的に取り入れましたか。」


という問いに対して、はっきりと肯定した割合は小学校、中学校共に10%以下でした。



このことから、令和4年度は


「子どもが主体的に学ぶ授業づくり」


を最重要重点として設定しました。




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僕が簡単にまとめた文章ですので引用ではありませんが、だいたいこんな感じの内容です。




前半の部分は共感できました。



学校が無くなって、改めて大切だなと思ったことは「人とのつながりって大事な事なんだな」ということや、「人とのつながりについて学ぶ場は学校なんだな」ということです。



Society5.0の時代の到来に向けて(すでに到来していると言っても過言ではありませんが)、彼らは人とつながり、主体的に活動していく力が必要です。



そのためにも「自立と共生ができる子ども」の育成は必要不可欠です。





後半の部分は共感できない部分が多かったです。



まず、学力の低下が人格の形成や進路選択に影響を与えるという部分です。



全ての活動には目的があると思うのですが、文章を読むと学力を向上させる目的は「人格の形成や進路選択の幅を広げる事」です。



進路選択の幅についてですが、学力を向上させることによって確かにいける高校は増えると思います。



しかし、偏差値の高い学校に行って、そのあとの選択肢は広がるのでしょうか?



本当は、その先の目的(就職とか起業とか)を見越して高校の選択をすべきだと思うのですが、現状は偏差値の高い高校に行ってそこから進路を考えるという全く逆の事をしてしまっています。



設計図を書いてから建物を作るべきなのに、とりあえず頑丈な家を作り始めておいてそこからどんな家にするか考えているようなものです。



それで本当に、選択肢を広げていると言えるのでしょうか?





学力向上と人格の形成については、正直よく分かりません。



本当に学力が向上すれば子どもの人格は形成されるのでしょうか?



人格が何かって所が大切だと思うのですが、まぁそこは置いておいて・・・



例えば、連立方程式ができなくても、国語の品詞が分からなくても、日本の周りの海の名前を覚えていなくても人格は形成されると思います。



形式陶冶の部分で、数学では「論理的思考力」を育むとされていますが、人間の知識・能力は文脈依存的であり、状況依存的であることが認知心理学で知られているそうです。



つまり、数学で育まれた論理的思考力は数学でしか発揮せず、別の所での論理的思考力には影響しないということです。



このことを踏まえると、本当に学力の向上が人格の形成に影響を与えているのか、ということには疑問符がつきますよね。





ただ、「子どもが主体的に学ぶ授業づくり」については共感しています。



それによって、資料でも言っている「自立と共生のできる子ども」が育まれる可能性があると思うからです。



今までのチョーク&トークの授業法では、子どもはもろに受動的なのでそういった力を育むことができませんが



この「子どもが主体的に学ぶ授業」では、課題に向かって自ら考えて取り組むことができ、更に分からない所を仲間と互いに教え合う。



そうすることで「自立と共生」の力は授業によって少しづつ育まれていくのではないでしょうか?





「子どもが主体的に学ぶ授業づくり」が最重要重点になったきっかけの



「知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えていた李、思いや考えをもとに創造したりすることに向かう過程を重視した学習を、計画的に取り入れましたか。」



というアンケートの質問項目は長すぎて結局何を聞いているのか分からない項目になっていますが、、、








今日は長々と書いてしまいましたが、言いたかったのは



①これからの変化が激しい社会に対応できる子どもを育てるために、自立と共生の力をつける必要があるよね


②そのためにも、「子どもが主体的に学ぶ授業づくり」っていうのは大切だよね


③学力向上って結局何を目的にしてるの?



の3つです。



学力至上主義はいつ終わりの時代が来るのでしょうか・・・?