バイバイ、ブラックバード 伊坂 幸太郎

先日、SNSで紹介していただいた伊坂幸太郎さんの小説を読みました。選んだ作品は『バイバイ、ブラックバード』。ブックオフで題名だけ見て選びました。なんとなくです。

 

 

 

f:id:nbnl_takashi:20210816194145p:plain

バイバイ、ブラックバード 伊坂 幸太郎 https://www.amazon.co.jp/dp/4575236950/ref=cm_sw_r_tw_dp_QHN6RDYP5EG992B27E28

主人公の星野一彦は、<あのバス>で連れていかれる前に、5人の恋人たちに別れを告げに行く。そんな彼の見張り役は、身長190センチ、体重200キロ超えの粗暴な大女の繭美。彼女はいつも辞書を持ち歩いており、「常識」「愛想」「上品」等の単語を黒く塗りつぶし、「私の辞書にそんな単語は載ってねぇ」といつも乱暴な態度で人と接している。そんな星野一彦、繭美の2人と星野の恋人とが繰り広げる不思議な約2週間を描く物語。

 

今まで読んできた本は、本当にありそうな日常の一部を切り取ったような小説が多かったのですが、今回はそれぞれの人物の設定や、物語の中で出てくる<あのバス>の存在が非常に面白かったです。


読み始めたときは「5股をかけている星野がそれぞれの恋人に懺悔したりする話かな」とか安直な事を考えていました。しかし読み進めてみると、星野は非常にまっすぐで素直な男。それゆえなぜ<あのバス>に連れていかれていってしまうんだろうと想像するのが面白かったです。

ヒロインの繭美はとにかくめちゃくちゃなんですが、星野と恋人の別れに関わる中での星野との関係の変化や、繭美自身が変化していく様子を見ていくのも非常に趣深かったです。

そして度たび出てくる<あのバス>について。あのバスに連れていかれるのはきっと死の世界なんだろうなとか考えていると、そこに連れていく仕事をしている繭美からは「そう思ってるなら違うよ?」という言葉が飛び出し、繭美は星野にそれを言っているのですが、それとともに読者である僕にもそれを伝えているような感じがしました。

 

この小説の最後には解説とか井坂さんへのインタビューが書かれているのですが、小説初心者の僕にとってそれも非常にありがたかったです。井坂さんいわく、この『バイバイ、ブラックバード』は「ちょっと変わったキャラクターとそれに振り回される人がいて、登場人物とのやり取りが楽しくて・・・」といった小説が伊坂幸太郎らしい小説だそうなのですが、まさにこの言葉通りの面白い小説でした。


最初は、太宰治の「『グッド・バイ』を完結させませんか?」という提案で書き始めた小説(太宰治は『グッド・バイ』を書いている途中に亡くなったそうです)だそうです。しかし実際にそれを書くには井坂さんは気が進まなかったらしく、新しいものを書こうとしたそうです。ただ、井坂さんご自身が『グッド・バイ』を1度読んでみた事や、編集担当からの提案が頭に残っていたこともあり、結果『グッド・バイ』の影響を大きく受けた作品になったそうです。

太宰治の『グッド・バイ』を読んだことがある方は、そういった楽しみ方もできる作品になっています。


最終的に<あのバス>に載せられる(死を意味する?)ことや、恋人一人ひとりと分かれていく等ちょっとネガティブなところに突き進んでいそうなのですが決してそんな事はなく、登場人物の設定や「えっ!」と思わせられる部分、感動するような部分が多くちりばめられていて、読み終わったときにはどこかほわっとした気分になりました。

 

こんな僕でも普通に読める小説をですので、どなたにとっても読みやすいものだと思います。お時間ある方はぜひよんでみてください。

 

また違う井坂さんの小説も読んでみようかな。