知り合いにおススメされた小説を読んでみました。
運動神経ゼロの主人公が、阪神甲子園球場のグラウンドキーパー(阪神園芸)になり、その1年目の様子が書かれています。甲子園球場のグラウンドキーパーの仕事や甲子園球場が1年間を通して整備されているのかが詳しく書かれており、その様子と共に性的マイノリティである主人公の親友がどのようにして性の壁を乗り越えるのか、大会中にケガをしてプロの道をあきらめた前年の甲子園優勝投手の同僚との関係性の変化などを書いた小説です。
小さい頃から野球をやってきた僕にとって、甲子園球場がどのように1年間を通して整備されているのかや、阪神園芸の仕事についてはもちろん興味があったので、とても楽しんで読むことができました。
ただそれだけではなく、登場人物の一人一人が乗り越えないといけない壁があるのですが、1度あきらめかけていた彼らがお互いに励まし合い、ぶつかり合う事でその壁を乗り越えていく姿が本当に感動的でした。
甲子園の土は30cmほどの深さがあるそうなのですが、奥の方の土を掘り返し、地上の土と混ぜ合わせないとやがて奥の土が水を吸わなくなり、水はけの悪いグラウンドになってしまうそうです。そのグラウンドの様子と登場人物の心の様子を重ね合わせた描写がとても心地よかったです。
あまり小説を読まない僕でも時間の流れを忘れてしまうほど入りこんでしまう素晴らしい作品でした。
特に野球が好きな方は絶対に楽しめると思いますので、気が向いた方は読んでみてください。
こういった小説についての記事は、これから読もうと思っている方が読んだときにあまりネタバレにならないように書くのが難しいんですね、、、。